「まあまあ、そう言わないで。今日はマリア様からお手紙をお預かりしているのですよ?」

「マリアから?」


 言いながら、チラシぐらいの大きさの紙片を手渡される。中を開けば、そこには絵が描かれていた。
 ピンクの髪の小さな女の子と、金髪の女性。恐らくはわたしとマリアを描いたのだろう。絵に沿う様に、文字らしきものが書かれている。わたしは教えていないから、神官や侍女から教わったのだろう。


「上手でしょう?」

「……どうなんでしょうね?」


 こういう時、何て言えば良いかなんて分からない。

 わたしはあの子の母親じゃない。死なない程度にご飯を与えて、この男に引き渡すまで側に居ただけの存在だ。
 あの子がどうしてこんな手紙を書いたのか、どんな反応をするのが正解なのか、正直言って謎すぎる。