「あっ、そうだ! あのね、あたしね、ダンスを頑張ったご褒美を何にするかようやく決まったんだ!」

「ご褒美? ……ああ」


 そういえばセドリックが、マリアとそんな約束をしていたっけ。わたしの問いかけに、マリアはゆっくりと頷きながら、嬉しそうに唇を綻ばせた。


「何が良いの?」

「えっとねぇ……今はまだ内緒! もう少ししたら教えてあげる!」

「えぇ? すぐに教えてくれたって良いじゃない?」

「ダメなの! こういうのはタイミングが大事なんだから!」


 へへ、と思わせぶりな笑みを浮かべ、マリアは食事を口に運ぶ。


(気になる……)


 まさかとは思うけど、とてつもない無理難題を言い出すつもりじゃなかろうか……じとっとマリアを見つめていたら、セドリックが「大丈夫ですよ」と言って瞳を細めた。