「だけど、マリア様の仰る通り、最近のジャンヌは本当に活き活きしていますし、よく頑張ってます。参拝客も喜んでいますし、神官一同、感心していますよ」


 今度はセドリックがわたしを撫でる。


「別に。そんなことないし」


 恥ずかしさのあまり憎まれ口をたたき、ふいと顔を背けたら、セドリックは満足そうに笑った。


「わぁ! 良いなぁ、ジャンヌさん! あたしもセドリックに頭撫でてほしいなぁ! いっぱい褒めてほしいなぁ!」


 ちょうどそのとき、マリアが瞳を輝かせ、とても羨ましそうな表情を浮かべた。


(ホント、わたしと大違い。びっくりするぐらい素直な子だなぁ)


 一体誰に似たんだろう? わたしは思わず苦笑を漏らす。


「ええ、もちろん! マリア様もとってもよく頑張っていらっしゃいますよ」


 セドリックはそう言って、マリアのことを優しく撫でた。
 マリアはわたしに褒められるときと同じぐらい――――いや、もっと嬉しそうに見える。


(無理もないか)


 付き合いは短いけれど、マリアにとってセドリックは、兄みたいに身近な存在だ。
 毎日食事を共にしているし(これはセドリックが勝手に同席をはじめただけだけど)、身の回りの世話や聖女としての教育などなど、セドリックが絡む場面がとても多いもの。