「そうですね……前向きに検討しておきます。
それより、せっかくデートに来たのに、こんな感じになっちゃうのは大丈夫なんですか? 付き合って早々嫌気が差してません?」


 まさか、こんな遊びっ気のないお出かけをすることになるとは思わなかった。わたし自身、自分の変化にかなり驚いているんだもの。他人であるセドリックもそうであって然るべきだ。


「いいえ、とても有意義な時間でしたよ。
ジャンヌのことをたくさん知ることができて、愛らしい笑顔をたくさん見ることができて、私はとても嬉しかったです。また一緒にでかけましょう。今度はマリア様も一緒に」

「――――はい。そうしたいです」


 自分で言うのも何だけど、本当に随分丸くなったものだ。

 ついつい笑みを漏らしていたら、ふいに唇を塞がれてしまった。
 胸がドキドキして、全身がほんのりと熱くなって、頭が変になってしまいそうなほど甘ったるい。


「っていうか、こんな道の往来で、なんてことしてくれてんですか!」


 思わず文句を口にしたら、セドリックはプッと吹き出し、それからわたしのことを抱きしめる。


「やはり敵わない。
貴女のことが好きですよ、とても、とても」

「なにそれ」


 全然、意味がわからない。
 だけど、怒っているのも馬鹿らしい。

 わたしはセドリックと顔を見合わせると、アハハと笑い声を上げた。