冷蔵庫や掃除機、シャワーやボールペンなどなど、セドリックが我が家を物色していた頃が懐かしい。

 あれだって、わたしが前世で見てきた文明の利器。便利グッズだもん。

 しかも、自分で用意できたのはほんの一部。車とか自転車とか、テレビとかスマホとか調理器具とかその他諸々、再現できていないものが山ほどある。

 だけど、自分で発明できずとも、『こういうものが欲しい』ってサイリックあたりに伝えたら、きっと上手に再現してくれる。そしたら、人々の暮らしが一気に楽になるかもしれない。それが回り回って、マリアの負担軽減に繋がるかもって思うと、これまた少し嬉しくなった。


「……いつか、遠い未来で構いません。貴女がどんなものを見てきたのか、私にも教えてもらえませんか?」


 気づいたら、セドリックが困ったように笑いながら、わたしの顔を覗き込んでいた。


(わたしがどんなものを見てきたか、か)


 ――――それを教えることは、わたしの前世をセドリックに打ち明けることを意味する。