「それで? 手を握って名前でも呼んでやるんですか?」

「そうそう。そうすると、すごく喜んでくれるんですよ」


 神官が微笑む。
 嫌な奴。まあ、相手も分かっていて金を出しているんだから、ウィンウィンなんだろうけど。


「残念ですが、あなたが一日に20万稼げるとかそういうことは関係ないです。わたしにとっては迷惑なんで、ここに来るのはご遠慮ください」

「うーーん、でも私はここに来たいから、遠慮は出来ないですねぇ」

「……言い方を間違えました。金輪際ここには来ないでください」


 この男はどこまで人を苛立たせる気だろう? 揚げ足を取るとか、神官のすることじゃないでしょうに!
 大体、前回も前々回も、来訪の目的が何なのか、ちっとも理解できなかった。勝手に茶を淹れて、部屋の中をぐるりと見て回って、変な時間に帰っていくんだもの。