(でもまあ、仕方ないのかな)


 海外ではものすごい高額な報酬を払わないと病院にかかれないって聞いたことがあるし、たとえ移植手術が必要でも、お金がないと土俵に乗れないだとか、リストの順番が下になってしまうだとか、命の重さは皆同じっていうのが幻想だっていう話も聞いたことがある。
 高名な先生じゃなければできない手術もあるっていうしね。

 健康保険制度が整っているのも、わたしが住んでいた国の話であって、任意加入だからとお金をケチって、いざという時に病院を受診できないだとか、そういう話はごまんとある。


 だからこそ、マリアが必要とされている。報酬も受け取らず、見返りも求めず、人々のために笑顔で尽くす聖女の存在が。


「本当にそれで良いのかな?」


 みんなを助けてあげたいっていうマリアの気持ちは分からなくはない。それは尊重されるべき感情で、否定しようっていう方がおかしい。


 だけど、幼いマリアに頼るよりも先に、するべきことがあるんじゃないか。
 できることが存在するんじゃないか。