神殿は王都の中央に位置している。
 このため、少し足を伸ばすだけで、色んなものを見ることができた。

 右手には壮麗な王城、左手には貴族たちの邸宅が立ち並ぶ。

 わたし達の目的地は、後手に広がる商店街だ。
 商店街っていっても、国一番の大きさを誇るから、原宿とか渋谷みたいなイメージである。そのくせ人が多すぎず、とても過ごしやすい。

 もちろん、西洋風の出で立ちで、色合いも造りもごちゃごちゃしていないから、見ていてとても可愛いし、癒やされる気がする。


(って! ガラじゃないわ、そういうの)


 うっかり見惚れそうになりながら、わたしは気持ちを引き締める。
 けれど、そんなこと、セドリックにはお見通しだったらしい。


「可愛いでしょう? 癒やされるでしょう? 神殿とはまた違った雰囲気ですもんねぇ」

「…………はい」


 悔しいけど、否定できない。恥ずかしさのあまり頬が熱くなった。