昼食を一緒に食べ、マリアとたっぷり戯れた後、父は領地に帰っていった。
 久々に子供らしい一日を過ごしたマリアは遊び疲れてしまったらしい。夕食前だというのにウトウトと舟を漕いでいる。教育係の神官たちが様子を見に来たけど、わたしはそっと人差し指を立てた。


(寝た子を起こしてまで勉強をさせようなんて、許さないんだからね)


 聖女である以前にマリアは子供だ。勉強ってのは詰め込めばいいってもんじゃないし、マリアは十分頑張っている。
 諦めて部屋から出ていった神官たちを見送りつつ、わたしはセドリックと向かい合った。


「――――我が国に本当に聖女が必要なのか、ですか?」

「はい」


 昼間の約束通り、セドリックはわたしの話を聞くための時間を設けてくれた。
 人知れず抱いてきた疑問を口にすると、少しだけ気持ちが軽くなった気がする。詳細を説明するため、わたしは身を乗り出した。