「お義父様、私はジャンヌが安心して本音を出せる相手でありたいと思っています。本当に、ものすごい意地っ張りですからね……そこがまたジャンヌの可愛いところなのですが、中々他人には理解してもらいづらいと思いますし。ジャンヌは一度殻にこもってしまうと、中々外に出ようとしませんから」

「そうなんだよ! ジャンヌちゃんは意地っ張りで……けれど根は優しい子なんだ! これまで、私がどれだけ勧めても、決してあの家から出ようとしなかったのだけれど――――そうか、君がジャンヌちゃんの心を解放してくれたんだね。いや、本当に良かった」

「ちょっ、二人揃ってそういうこと言わないでよ! 本気で恥ずかしいんだから!」


 頭上で繰り広げられる男たちのやり取りを聞きつつ、わたしは頬が熱くなる。逃げようにもセドリックのせいで動けないし。


「っていうか、お父さん。わたし、もういい大人なんだし、そんなふうに心配しなくてもいいじゃない?」


 今朝会ったときにも言ったけど、わたしはこれでも二十二歳で。
 自立した大人で。
 それなのに、恋人ができたぐらいでこんなに喜ばれるほど、頼りないんだろうか?