「ジャンヌちゃん……!」

「お父さん……わたし、その…………」
「良かったねぇ!」

「……え?」


 想定外の反応に、わたしは思わず首を傾げる。父はわたしを抱きしめながら、オイオイと声を上げて泣きはじめた。


(嘘。絶対、反対されると思っていたのに)


 どうやらそうではないらしい。今度はわたしが面食らってしまう番だった。


「私はこのまま、君が一人きりで生きていくつもりなんじゃないかと心配していたんだ。マリアちゃんに対しても、大事にしている割に、ずっと一線を引いているようだったからね。
だけど、そうか……! ジャンヌちゃんにもようやくいい人が……甘えられる人ができたんだね!」

「お父さん……」


 なんだろう。こんなふうに喜ばれると思っていなかったせいか、ものすごくこそばゆい。反対されるほうがまだマシだったかもしれない。っていうか、今すぐここから逃げ出したいぐらい、本気で恥ずかしいんですけど。

 そんなわたしの気持ちを見越してか、セドリックがわたしの両肩を優しく押さえる。それから彼はニコリと朗らかに微笑んだ。