だけど、わたしの気持ちとは裏腹に、マリアのほうはやる気満々だ。
 まあ、教育係もついてて、そう教えられているのだから、仕方がないのかもしれないけど。


「ジャンヌさんも一緒に行こうね! 美味しいもの、あたしと一緒にたくさん食べよう?」

「え? あぁ…………うん、考えておく」


 そう返事はしたものの、わたしは大いに迷っていた。


(どうしたら良いんだろう?)


 幼いマリアが聖女としてこき使われるのを、このまま黙って見ていて良いのだろうか?


 そもそも、わたしはこれまで親らしいことをなにもしていないわけで。そんなわたしが今更口を出すのも、よろしくない気がするし――――。


「ほらほら、ひとりで考え込まない」


 その時、セドリックがわたしの肩をポンと叩いた。


「悩みごとがあるなら、私に相談してください。そのための恋人、でしょう?」

「あ……うん、そうだね。そうさせてもらおうかな……」


 わたし一人で悩んでいても、解決するどころか変にこじらせてしまいそうだ。ことはわたし自身じゃなくマリアのことだし、セドリックに相談するのが一番なのかもしれない。