(全く! セドリックといい、お父さんといい、わたしを甘やかし過ぎじゃない?)


 周りにたくさん人がいるっていうのに、目頭が少しだけ熱くなってしまう。


「ジャンヌ、せっかく来ていただいたのですし、伯爵には神殿の中でお待ちいただいたらいかがでしょう? 積もる話もあるでしょうし、ここではゆっくり話ができませんから」


 その時、ふと背後から声がかけられた。
 セドリックだ。

 父も彼のことは知っていたらしく、微笑みながら挨拶を交わしている。


「宜しいのですか、主任神官様」

「ええ、もちろん。せっかくですし、昼食をご一緒しましょう。私も伯爵とお話したいことがありますし、是非」


 なんだか分からないけど、お父さんとセドリックの間で、勝手に話が進んでいる。


(まあ、いっか)


 久々の再会なんだし。
 ため息を吐きつつ、わたしは少しだけ微笑んだ。