それから、男は三日と開けず、我が家を訪れるようになった。


「なに? 神官様って暇なんですか?」


 歯に衣着せずそう言えば、彼は機嫌よさげにニコニコと微笑む。


「そんなまさか! 人々から寄付を得るための活動も必要ですし、朝夕のお祈りも欠かせません。神殿をピカピカに磨き上げる必要がございますし、マリア様のお世話も担当させていただいています。かなり忙しい生活を送っていますよ?」

「だったら、こんな所で油を売っていないで、早く神殿にお帰り下さい。あなたが来るたびに食事を抜くから、こっちは迷惑しているんです」


 ハッキリ『迷惑』と言葉にすれば、彼はキョトンと目を丸くした。


「迷惑?」

「ええ」

「この私が?」

「そう言っています」


 これまで女に邪険にされた経験が無かったのだろう。男の表情は、信じられないものを見るかのように見開かれていた。