「え? マリアちゃんが聖女に?」


 キョトンと目を丸くした父親の顔を無理やり横向ければ、マリアが「おじいちゃん!」と呼びかけてくれた。


「マリアちゃん!」


 父はマリアのことを本当の孫のように思っており、わたしと同じかそれ以上に溺愛している。
 頼んでもいないのに、定期的にバカ高そうな玩具や洋服を贈ってくるものだから、あんまり関わらせないようにしているのだけど。


「なるほど、シャーリーはマリアちゃんのことを知らないからな。全く事情が見えなかったけれど、そういうことだったのか」

「うん。正式な聖女就任式まで、マリアは神殿を出られないらしくってさ。一応わたしはこれまでマリアを育ててきたんだし、本人も望んでいるからってことで、就任式までの間、ここで暮らすことになったってわけ」


 就任式さえ終わってしまえば、マリアは自由に外出ができるようになる。

 以降、どうするかは具体的には決まっていないけど、二人で森の家に帰って、神殿に通うのも悪くないかなぁなんてことを、こっそり思っていたりする。まあ、警護の問題とか、色々と課題はあるんだけど。