「それから、貴女自身を信じられないという部分については、私が頑張れば良いことです。心変わりをさせないよう、毎日愛を囁き続けますし、大事にします。そちらも、日々を重ねていった先にしか結果は見えませんが」

「――――それって、ものすごく気の遠くなるような……先の長い話ですね」


 すべての結果がわかるのは、一体いつになるんだろう?

 だけど――――そんなふうに思うあたり、わたしは結構、神官様のことが好きなのだろう。
 だって、彼と一緒にシワシワのおじいちゃん、おばあちゃんになる未来が見えるんだもの。


(わたしは、神官様を信じられないままでいい。それに、わたし自身のことも、信じなくていいんだ)


 たったそれだけのことだけど、心がとても楽になった気がする。
 仮にこの先なにか起こったとしても、『信じていなかったから』と言い訳ができるし、そうすると前世ほどには傷つかないもの。

 神官様が言う通り、未来のことは誰にもわからない。
 けれど、積み重ねた現在は過去に、事実に変わっていく。

 それは単純に『信じてほしい』と言われるよりも余程誠実で、信頼できる気がした。