「ジャンヌが私の気持ちを信じられないのは、いつか変わることを恐れているからでしょう?」

「――――はい、そのとおりです。信じて、裏切られてしまうことが、一番イヤです」

「でしょうね。その気持ちは私にもよく分かります。
ですから、貴女は私の気持ちを信じなくても良い。ただ、それでも私はジャンヌを愛します。愛し続けます」


 神官様がそう言って、わたしの頬をそっと撫でる。心臓がドキッと大きく跳ねた。


「そんな日々が今日、明日、一ヶ月後、半年後、一年後、十年後と続いていけば、その間ジャンヌがどれだけ信じられなかったとしても、それは純然たる事実になります。
もちろん、それから先の未来のことは誰にも分かりません。けれど、未来とは、現在の積み重ねから成り立っています。わだちというものは、通った道の後にしかできませんから」


 先のことは分からない――――神官様がそんなふうに言ってくれるなんて、思ってもみなかった。根拠もなしに永遠を約束するタイプに見えるし、普通は自分を信じてくれない女なんか嫌だろう。信じてほしいって、そう言われると思っていたから。