(やってしまった……)


 布団を頭までひっかぶり、わたしは一人、のたうち回る。

 昨夜はどうかしていた――――そんな馬鹿なことを言う羽目になるなんて、夢にも思わなかった。


 流された。
 絆された。


 どんな言葉で形容しても、愚かだったとしか言いようがない。


(あーーーーーーもう!)


 神官様め、なんてことをしてくれたんだ。


 なんてことを――――いや、違う。
 待って。
 よくよく考えたら大したことじゃないんじゃない? 

 このぐらい、中高生ならまだしも、大人なら普通のことと言うか。特段騒ぎ立てるようなことではない。
 むしろ、意識しすぎているわたしが阿呆なのだ。


(そうよ)


 わたしは布団からのそのそと起き上がり、部屋の中をぐるりと見回した。


 久しぶりに帰ってきた森の中の我が家。ここには早朝、日が昇る前に転移魔法で移動した。
 今日は一日オフをもぎ取ったし、マリアの方にはきちんと書き置きを残してきた。ちょっと用事があるから家に戻る、って。