「女性の家を物色するのは、褒められた趣味ではありませんね」


 っていうか、本当は今すぐ止めろと言いたい。イケメンだから許されてるだけだぞ? 下手すりゃ通報案件だからね。一応、目の保養になってるからギブアンドテイク的な心で受け入れているだけで。


「自覚はあります。だけど、この家には見たことがないものが沢山ありますから。この顔に免じて許してください」

「……自覚があるなら今すぐ止めてください」


 この野郎、確信犯かい! つくづく腹の立つ男だ。


(神官って俗世から離れた人間の集まりじゃないの?)


 前世でいう江戸時代位までのお坊さん――――所謂世捨て人みたいに思っていたけど、この神官は如何にも俗物的というか。わたしの思う神官像の真逆を行ってる。だってこの人、神様とか信じて無さそうだもん。物欲半端ないし。


「まあまあジャンヌ殿。これはマリア様のためでもあるのです」

「は? マリアの?」


 んなわきゃあるかい!
 ツッコミを入れようとしたわたしを、神官がそっと遮った。