(どうだ! うちのマリアは可愛いだろう)


 今は未だ六歳で、愛玩動物みたいにしか思えないかもしれないけど、将来本当にマリアと結婚するなら、大事にしてくれなきゃ許さないんだから。さり気なく念を送っていたら、神官様がなぜだか小さく笑った。


「でも、大丈夫かなぁ? たくさん人がいるし、緊張しちゃう。失敗したら恥ずかしいし……」

「大丈夫。僕がリードするよ。マリアは安心して僕についてきて?」


 まるで兄妹のようなやり取りだけど、見ていて微笑ましいし、良い感じなんじゃなかろうか。


「あれだけ練習したんだから大丈夫だよ。行っておいで、マリア」


 背中を押してやったら、マリアは「うん!」と言って、満面の笑みを浮かべた。

 王太子がマリアの手を引いていく。
 眩いばかりの金の髪に緑色の瞳。神官様と同じ色だ。


 会場の皆が見守る中、二人は音楽に合わせ、ゆっくりとダンスを踊り始めた。