「ジャンヌ殿も如何ですか? 城のシェフが作っただけあって、どれも美味しそうですよ?」


 神官様はそう言って、さり気なくわたしを誘導する。
 さっきまでは違和感バリバリだったけど、段々エスコートに慣れてきてる感じがする。
 まあ、そんなことはさておき。


「確かに美味しそうですけど……あんまりお腹空いてないんですよね。コルセット締めてますし、元々少食な方ですから」

「なるほど……貴女が少食なのは存じ上げておりますが、本当に後悔しませんか? お城のお料理ですよ? お肉もお魚も野菜も果物も、素材からして一級品ですよ?」


 さすが、神官様は押しが強い。
 彼は数種類の料理を皿に盛り付けてもらって、それをわたしに差し出してきた。


「私が食べさせてあげても良いんですが――――」

「謹んでお断りします」


 絶対、言うと思った。
 神官様から皿とカトラリーを奪い取り、わたしは自分で食事をする。


「どうです? やっぱりジャンヌ殿には脂がきついですか?」

「…………いいえ。神殿のお料理ほどコテコテしてないです」


 そこはやっぱり素材の差だろうか。良いものを使っている分だけ、味がまろやかで優しいし、脂も控えめだ。もちろん、料理人の腕の違いも有るんだろうけど。