ちょうどその時、王族御一行が到着したらしい。恭しく口上が述べられ、ファンファーレが鳴り響いた。

 その場に居る全員が、一斉に深いお辞儀をする。わたしも見様見真似で頭を下げた。


(マリアはちゃんと出来てるかな?)


 ふと気になって、頭を下げたままマリアの気配を探ってみる。
 すると、マリアはちゃんと周りの人と同じように、恭しく頭を下げていた。


「偉いな、あいつ」


 大人のわたしよりも余程堂々としているし、しっかりと空気を読めている。

 わたしの呟きに、神官様はクックッと笑いながら、「マリア様のところに行きましょう」と口にした。


「あっ、ジャンヌさん! セドリックも! 来てくれてよかったぁ!」


 マリアは嬉しそうに微笑みながら、わたしに向かって抱きついてくる。平然としているように見えて、多少は緊張していたらしい。


「ねえ、セドリック。あたしちゃんとできてた? 大丈夫だった?」

「ええ! お辞儀も立ち居振る舞いもバッチリでしたよ! 立派なレディーにしか見えませんでした」

「本当? 良かった! 安心しちゃった」


 マリアはそう言って朗らかに笑う。
 わたしはなんだか泣けてきてしまった。