「……何なのですか、これは?」


 そう言って、イケメン神官は冷蔵庫へ向かう。ドアを何度も開け閉めし、中から出てくる冷気を手に当て、目をキラキラと輝かせる。


「ちょっと、勝手に開けないでください。開けると冷気が漏れるんですから」


 文系女子のわたしには、電気や回路の知識なんて存在しない。予め魔力を込め、箱の中身を冷やしているだけだ。だからこれは、なんちゃって冷蔵庫。実態は、クーラーボックスに近い。庫内の冷気が減ったら、もう一度魔力を込めなおさなきゃいけないんだから。


「こんな道具、これまで見たことがありません。一体何なのですか?」

「ですから、魔法ですよ、魔法。神官様には扱えない代物で――――」

「魔女や魔法使いは数いれど、こんな道具を持っている人は見たことがありません!」


 瞳をキラキラ輝かせ、神官はわたしの元へとやって来る。


(うわぁ……面倒くさい男)


 わたしは大きくため息を吐いた。