「神官様、実はシャーリーはわたしの――――」

「口を慎みなさい、ジャンヌ。
セドリック様。この人はわたくしとは何の関係もございません。卑しい血の平民ですもの。単に名前を知っていたというだけです」


 シャーリーはわたしの発言を遮り、気位の高そうな笑みを浮かべた。


(卑しい血、ねぇ……)


 前世で平等な世界を経験し、理科を勉強しているわたしからすれば、平民と貴族で血液の成分が変わらないなんて当たり前のこと。親が貴族に生まれたから、子も貴いなんて馬鹿げている。実にナンセンスだ。

 だって、平民にも優秀な人間は腐るほどいるじゃない? 寧ろ甘ったるい環境で育てられてない分、強くて逞しいし、悪知恵だってある。

 大体、馬鹿な王族、貴族が大量発生している時点でお察し案件。

 血が云々、生まれが云々っていうのは幻想でしかないし、そんなおかしな伝統にしがみついているから政治がおかしなことになる。いずれナポレオンみたいな人が出てきて、下手すりゃ革命だって起こるかもね。歴史は繰り返すって言うし。異世界でもきっと同じでしょ?