豪奢なドレスを着た女性が、わたしのことをキッと睨みつけている。
 まるで親の仇を見るような目つきだ。


(まあ、当たらずも遠からずってところだけど)


 それにしても酷い嫌われっぷりである。
 ため息を吐いていたら、神官様がわたしたちの間に割って入り、よそ行きの笑みを浮かべた。


「これはこれはシャーリー嬢……お久しぶりです。ジャンヌ殿とお知り合いなのですか?」 


 シャーリーと呼ばれた令嬢は、眉間にグッとシワを寄せ、先程よりもさらに不機嫌な表情になった。きっと、わたしが神官様に名前を呼ばれたことが気に食わないのだろう。


 柔らかな金の髪に、緑色の瞳。
 まるで鏡を見ているみたい。
 容姿だけはわたしとよく似ている。

 まあ、半分血が繋がっているんだもの。
 当然といえば当然だ。


 彼女はわたしの異父妹であるシャーリー・ブルックリン。
 由緒正しき伯爵令嬢というやつである。