「ご無沙汰しております、セドリック様!」


 キャピキャピした若い女の声が、神官様を呼んだ。
 これ幸いとばかりに神官様を押しのければ、彼は渋い顔をしてこちらを見遣る。


(良かった、助かった)


 誰かは知らないけど、マジでグッジョブ!
 心からの称賛を送ろうと振り向いたその時だった。


「後で続きを話しましょうね、ジャンヌ殿」


 神官様が耳元でそう囁く。


(こっ、こっ、この男は〜〜〜〜!)


 折角空気が変わったと思ったのに! 全然切り替えさせてくれないじゃない。
 

(くそっ)


 気を取り直し、声を掛けてきた女性の方を向く。失礼にならないよう、会釈だけしてこの場を去ろう――――そう思っていたのだけど。


「まさか……嘘でしょう⁉ ジャンヌ⁉」

「げっ!」


 そこに立っていたのは本当に思いもよらない人物で。
 わたしはゲンナリしてしまった。