毎日、龍二の部屋に行く必要はないので

派遣で働きながら

仕事がない日に龍二の部屋へ行っていた。

昼間に龍二が帰って来る事はないのに

突然玄関の音がした。

麻耶は少し怖くなり、ソファの後ろに隠れた。

「綺麗にしてるなぁ。家政婦さんのお陰か。

 本当、殺風景な部屋だなぁ」

彼は、ブツブツ言いながら冷蔵庫を開け

コーラを一気に飲み干した。

彼がゴミ箱を開け、背中を向けた時

麻耶は恐る恐る顔を出して尋ねた。

「あの~、どちら様ですかぁ?」

「何だよ!ビックリするだろっ!」

彼は2~3歩後ずさり、眼を見開いていた。

「すいません。家政婦です」

「ああ、家政婦さんかぁ・・・って

 若いなぁ。俺と変わらないだろ?」

「はい。たぶん」

「俺、弟(マサル)で7歳違いの22歳。

 現役の大学生だ」

マサルは、無造作に髪をセットして

ラフな格好で、見るからに

大学生って感じの爽やかさを持っていた。