「麻耶、連れて来てくれてありがとう」
「ううん、私もありがとう。
本当良かった、一緒に来れて」
お寺の出口まで並んで歩いた。
龍二の横顔には、昔の面影はない。
だけど、心の引っ掛かりが取れて
明日からは前向きになれる。
龍二も私も・・・そして赤ちゃんも・・・
そう信じてる。
「じゃあ、私は駅だから」
「麻耶、結婚しないのか?」
「なんで?」
「俺のせいで・・・」
「そんな事ないよ!
縁がなかっただけだって」
不安にさせないように明るく答えた。
彼は、俯いたまま唇を噛んでいた。
「もう本当、気にしないで。
じゃあ、元気でね」
「また、一緒に来よう。
ずっと一緒に来たいんだ」
搾り出した声で言い、嗚咽を漏らした。
強引な口調ではなく懇願している。
麻耶は、そんな彼を見つめていると
頬を涙が伝った。
麻耶は、お寺の奥を振り返り眼を瞑った。
そして、もう一度龍二の手を握った。
完


