「それで……マリアの方はどうなの?」
 カタリナへの評価に満足した母は、今度は私の課題に対する評価を求めた。
「マリア様のは……大変努力された跡はうかがえるのですが……」
 講師は、ちらちらと私と母を交互に見た。どうやら私たちが、どんな反応をしているのか気になっているみたいだ。そして、その反応によって次の言葉を選んでいるようだった。
「特に目新しいところはなく、平凡な出来といったところでしょうか……」
「あら、そう……マリアはカタリナを見習わなければね」


「課題の件ですが、納得いきません!」
 私は講師と二人きりになるタイミングを見計らって、こう切り出した。
「そう言われましても……」
 やはり、母に何か言われたのであろう、歯切れが悪く、気まずそうな顔をしている。
「カタリナの課題を見せてください」
 私は断られるのを覚悟で、思い切って聞いてみた。
「……わかりました。どうぞ」
 案外あっさりと申し出が受け入れられ、私は拍子抜けした。
「……ありがとうございます……」
 受け取ったカタリナの課題をペラペラとめくってみる。
「あの、これって……」
 震える声で、私が講師に聞くと、『もうこれ以上は何も聞かないでくれ』と言わんばかりに、講師は完全に私から顔を背けた。
「これは盗作ですよね……?」