「何だかすっごく久しぶりの我が家ねぇ」


 ヘレナはそう口にしつつ、レイに微笑みかける。

 祖国を出発して、真っ直ぐ屋敷に戻って来れたかと言えば、そういうわけにはいかなかった。ニックのお蔭で、レイの存在がストラスベストの王室にバレてしまったからだ。
 ヘレナとレイは王室が寄こした馬車に乗って、ストラスベストの王都に向かった。そして、ヘレナはそこで、初めてレイの家族に会うことが出来た。


(なんていうか……あんまり似ていなかったなぁ)


 再会の瞬間を思い出すと、ヘレナは思わず笑ってしまう。至極冷静なレイを除き、レイの父親である国王も、母親も、涙ながらにレイの帰還を喜んだ。見ているこちらの胸が擽ったくなるような、温かなひと時だった。

 二人はレイの予想に反し、城に帰って来いとは言わなかった。ニックから、予めレイの気持ちを聞いていたのかもしれない。『何があっても、レイは自分たちの息子だから』と口にして、快く送り出してくれたのだ。