「下から見ててね、危ないと思ったのよ」
ベンチに座る私の横で、さきほど助けてくれた女性がペラペラと、しゃべっている。
…えぇ、ほんとうにありがとうございました。
何度目かになる、お礼を言っていたら。
「蒼ちゃん…ッ!!」
人が少ない場所を選んだつもりだったのだけれど、思わずまわりの人が振り向く声量で呼ばれた。
振り向いたら、息急ききって肩で息をする青さんが立っていた。
ほんとうに来てくれたんだ。
いま、何時だっけ?
スーツ姿なのはきっと衣装だからだろう。
本番に間に合うのかな?
一瞬でアタマのなかを埋め尽くす、不安。
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