ダブルブルー

声をあげる隙もなかった。



気がついたら、滑った靴のかかとの衝撃と、ぶつけた背中の痛みに顔をしかめていた。


手から離してしまったスマホの液晶画面が、階段の下で光っている。


さいわいにも、階段の下まではあと7~8段と言うところ。


大きな怪我はなさそうで、ほっとする。


「大丈夫?!」


下から上がってきた年配の女性が、転がり落ちた私のスマホを拾って、手渡してくれた。



「大丈夫、です」


なんとか息を整えた私に。


「でも、あなた…」


いいかけた女性を、思わず遮った。