ダブルブルー

耳元の甘い声にほだされていたから、なのか。



階段の中ごろで、足元がもつれそうになって、スマホを持っていないほうの右手で、とっさに手すりを掴んだ。


危ない。注意して下らないと。


足元を確認しながら、今度は慎重に階段を降り始めた。


『蒼ちゃん、どうしたの?何かあった?』


絶えず話し掛けてくれる青さんに、


「階段でちょっと、つまずいちゃって」


『えぇ?大丈夫?一回電話切ろうか』


心配そうな声音に、


「嫌です!やだ!やだ!やだ!!」


今度は私が、駄々っコみたいな声をあげてしまう。