ダブルブルー

独りで帰りますから。


その言葉はまたも、


独りで帰せるわけないでしょ。


当然のように、言ってのけたくちびるに吸い込まれる。


一定の距離を保って歩く帰り道は何だか、あたたかい。


手首を引かれているわけではないのに、安心感がある。


「…あ、見て見て。今日は月がきれいだねぇ」


なんて、夜空に手を伸ばした横顔の方が、きれい、だ。


「ん?どうかした?」


見つめる私の視線に気が付いた久保田さんが、ふいに私に視線を移した。


その不意打ちにまたも、赤くなる頬。


焦って下を向いた。