「…や、そ、それはさすがにマズイ、かと」


ふふふ。そう？


どぎまぎしている私を余裕で笑って見つめている。


オレは別にいいんだけど、ね？


耳元で囁かれたら、我慢のたがが外れてしまう。


青さんのシャツの胸元を掴んで、ぐいと引っ張った。


ぶつかるようにした、私からのキス。


少し、びっくりした表情は、一瞬で笑顔に変わる。


ふふふ。ありがと。


「じゃあ、ほんとに離れられなくなっちゃうから、帰るね。またね？おやすみ」


車に乗り込む後ろ姿を見送った。


ハザードランプが切れて、車を発進させる直前に『ばいばい』と手を振ってくれた青さんに、私も負けじと大きく手を振った。


そんな大袈裟な仕草が面白かったのか、吹き出した青さん。


もう一度、手を振り返して今度こそ行ってしまった。


でも、さみしくは、ない。


着々と増えてゆくふたりだけの想い出が、背中を押してくれるから。


だから私は、私たちは、大丈夫。




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