ダブルブルー

目をぎゅっと瞑ってひとつ、深呼吸をする。


一瞬、脳裏に浮かんだのは、あの柔らかな声。


「…見てない…」


少し震えて、ちいさな声。


「え?なんですかぁ?聞こえないんですけどぉ?」


わざとらしく、耳に手を当てて聞き返す彼女たち。


もう一度、大きく深呼吸をした。


「あなたたちって、上辺でしかひとも物も見てない。可哀想だなって、思う」


一気に伝えて、踵を返した。


「えー?なにあれー?!感じ悪ーぅ!」


背中に投げつけられた声に、思わず振り返る。


「ひとには感じ悪いこと言って平気なのに、自分が言われたら嫌なんだね。そうゆうの直した方がいいと思う」


そうしてまた、踵を返して自分のデスクに座った。