ダブルブルー

「よし。遅いから送ってくよ」


そんな風に言いながら、立ち上がった背中に。


「いえいえ!とんでもないです!ひとりで帰れます」


焦って掛けた声。


「なに言ってるの。ひとりで帰せるわけないでしょ」


当然のように言ってのける背中。


ほら、行くよ。


有無を言わせない声に、急いでついてゆく。


「家、どのへん?」


言いながら歩く背中は、何故だか優しさを纏っている。


道案内をする他は、沈黙が続いたけれどこの沈黙は、痛く、ない。