秘書はあらがえない気持ちを抱いて 【おまけ①】

その夜、俺は瑛二を部屋に呼んだ。

寝るには大分早い時間ではあったが、寝る支度を整えベッドに入り本を読んでいると、ドアをノックする音が聞こえた。

「入れ。」

「進一郎様、お呼びでしょうか?」

「ああ、お前に頼みたいことがある。」

「なんでしょうか?」

「最近、眠れなくてな。俺が眠るまで側にいてくれ。」

眠れないというのは嘘だ。
寧ろ、目を閉じて10秒で眠れるほど快眠体質だ。

「でしたら、かかりつけ医をお呼び致しましょう。」

「いや!医者を呼ぶほどではないんだ!」

「ですが、何かご病気でも…」

「理由は分かっている。ただ側にいてくれれば寝れるから。」

「分かりました。」

「そこのソファーに座ってくれ。」

瑛二は俺が指差したベッド脇の一人掛けソファーに言われるまま座った。