「進一郎様、どちらにお出掛けですか?」

こっそり家を抜け出すつもりが、メイドの佐月に見つかってしまった。

「庭に行くだけだ、だから付いてくるなよ。」

「でしたら、こちらの帽子を付けてお出掛け下さい。
外は日差しが強いですし、進一郎様は直ぐ日焼けしてしまいますから。」

そう言って、佐月は俺の行動を事前に予測していたのか、持っていた麦わら帽子を被せた。

俺としては、母譲りの色白を焼く良い機会なのだが…

にこりと満足気に微笑む佐月を無下には出来ず、日焼けするのは別の機会にしようと麦わら帽子を受け入れることにした。

「おやつの時間にはお戻り下さい。」

そう言えば、今日だったな。
15時に佐月の息子が挨拶に来るのは。