その時……。 クスクスと笑う声が聞こえた。 一瞬、背中がゾワゾワして冷や汗がツーと伝っていくのがわかる。 は?な、何だ? 声のするほうにゆっくり振り向く。 「彼女に振られちゃったの?ねぇ、おにーさん?」 は? ビルとビルの隙間に膝を抱えて座っていた若い女が、俺に向かってそう言ってきた。