警察署での事情聴取の帰り。
俺の後ろをトボトボとゆっくり歩く彼女。
昨日までのあの元気はどこに行ったんだよ。
泣きじゃくったせいか目が真っ赤で少し瞼が腫れている。
鼻水で顔もグチャグチャだ。
「ほら、さっさと歩け~!置いてくぞ~!」
後ろを振り返り彼女にそう言う。
少し早歩きで俺の前に来た彼女。
「ゴメン、な、さい……」
小さい声で謝る彼女。
「詳しい事は後で聞くから」
俺はそう言って、彼女の身体にそっと触れた。
ビクンと身体が跳ねる彼女。
「身体、冷えてんじゃん」
服の上からでもわかるくらい彼女の身体は冷めていた。
「これ着なよ」
俺は自分の着ていたコートを脱ぐと、それを彼女の肩にかけた。
「……ほら」
俺は彼女に手を差し出した。
驚いた顔で俺を見る彼女。
「手、冷えてるんだろ?だから、ほら……」
震えている彼女が手をゆっくり出してくる。
その手をギュッと握った。
氷のように冷たい手。
「温かい」
彼女は少し笑顔を見せてそう言った。