しばらくして屋上に行く許可が出た。


エレベーターのボタンを連打する。


なかなか降りてこないエレベーターにイライラが募っていく。


仕方ねぇ!


エレベーターを諦めて、階段を全速力で駆け上がっていく。


更に息が上がる。


吐き気も襲ってくる。


でもそんな事より彼女の方が恐怖心でいっぱいだろう。


なぜ、自ら命を絶とうとしてるのか。


昨日、ニコニコ笑ってたじゃねぇかよ!


あの笑顔は嘘だったんか?


あの時……もし、あの時……。


後悔の念が降りかかってくる。


屋上の扉の前についた。


膝に手をやり「はぁ、はぁ」と乱れる呼吸を整えていく。


屋上の扉をゆっくり開ける。


音を立てないように。


フェンスの前に立つ彼女の背中が見えた。


後ろからソーっと近付いて行く。


いきなり声をかけたらビックリして、そのまま落ちる可能性があるためだった。


だから音を立てないようにゆっくりと……。


下からガヤガヤと煩い音や声が聞こえてくる。


あと少し……。


あと……。


その時、彼女がゆっくりフェンスを登っていく。


フェンスから顔が出た時……。


俺は彼女の身体を後ろから抱きしめた。