能ある彼女は敏腕社長に捕獲される

そんな噂を聞いたのは初耳…って、初めて聞いたから当たり前か。

と言うか、“夢中になっている女”って…。

「本当と言えば本当ですね」

隠す必要もないと言った様子で社長は答えた。

その瞬間、胸の中がモヤッ…としたのがわかった。

『トウゴウ』の社長は悔しそうな顔をすると、社長室から立ち去ったのだった。

台風みたいだったなと、その後ろ姿を見ながら私は思った。

「あの…」

「んっ?」

「先ほど、『トウゴウ』の社長がおっしゃっていたことは本当なんですか?」

念のためと言う訳ではないけれど、私は聞いた。

「ああ、本当だ」

社長は私の質問に答えた。

「とは言え、まさかそんな噂が流れていたとは思わなかったな」

社長はやれやれと言うように息を吐いた。