私が高校に進学すると、母は近所のスーパーマーケットでパートの仕事を始めた。

父はいない、母もいない、兄もいない家の中で私は寂しい気持ちになるどころか清々しい気持ちになった。

家に帰るとコンビニで買ってきたおやつを食べながら学校から出された宿題を終えると、近所を散歩すると言う軽い運動をした。

散歩を終えて家に帰ると、風呂に入って汗をかいた躰をさっぱりさせて、パートに行く前に母が用意してくれた夕飯を食べた。

自室に戻ると明日の準備をして、兄からの連絡があった日はそれに対応して、11時を過ぎてから寝ると言うそんな生活だった。

そんな生活に変化が訪れたのは、私が高校2年生になった秋ぐらいだった。

いつものように学校から帰ると、玄関に父の革靴があることに気づいた。

珍しい、体調でも崩したのだろうか?

そう思いながら、私はローファーを脱ぎ捨てると家の中へと足を踏み入れた。