家に残された私は、肩身の狭い思いをしていたと今でも思う。

家族と一緒にどこかへ遊びに行ったとかどこかへ旅行に出かけたと言うほのぼのとした話や父親がウザい、両親がウザいと言う思春期ならではの話を同級生たちがしているその中で、私は何とも言えなかった。

県外の全寮制の高校に進学した兄とは週に1回ほど連絡を取りあっていたけれど…父は常に家にいないようなものだし、母とも仲がいいと言う訳ではなかった。

同級生たちのその話をいつも冷めた雰囲気で聞き流していたし、ドラマやマンガでよくある家族のシーンも不思議な出来事を見るかのようにいつも見ていた。

家族みんなで温かい食事を囲んで、その日にあったほんの小さな出来事を話すと言うその光景は、私の中ではまるでSFかファンタジーのようだった。