能ある彼女は敏腕社長に捕獲される

駅を降りて父の墓があると言う霊園へと足を向かわせた。

『門谷家之墓』

ここに父は眠っているようだった。

墓石を目の前にしても、やっぱり何も思わなかった。

それは兄も一緒のようだった。

私たちはそっと両手をあわせると、目を閉じた。

目を開けてもう1度墓石を見つめると、
「ーー帰るか…」
と、兄が言った。

それに対して、
「ーーそうだね…」
と、私は言えなかった。

そのまま立ち去ろうとした時、
「ーーあの…」

誰かに声をかけられたので、そちらの方へと視線を向けた。

そこにいたのは、1人の男だった。

父親と同い年くらいだろうか?

「門谷さんの関係者ですか?」

そう思っていたら、その人が聞いてきた。

「ええ…」

兄がそう言ったら、
「初めまして」
と、彼は私たちに向かって頭を下げてきた。