能ある彼女は敏腕社長に捕獲される

社長は驚いた顔をしていたけれど、驚いているのは私も一緒だ。

「ーーえっ、と…す、すみません…」

突き飛ばしたのは私なのに謝っていた。

この状況がいたたまれなくて、何より社長の驚いた顔を見るのがもう嫌で、私はリビングから逃げ出した。

自室に飛び込むようにして入ると、
「ーービックリした…」

そう呟いた後で、ヘナヘナとその場に座り込んだ。

両手を顔に当てると、熱かった。

同時に先ほど両頬を挟むようにしていた社長の両手を思い出して、すぐに自分の両手を下ろした。

と言うか、
「ーーキスされたんだよね…?」

先ほどの出来事は間違いなくそれである。

何でキスしてきたんだろう?

社長が何を思ってどう思って私にキスをしたのか、全くと言っていいほどに見当たらない。

それよりも、
「質問の答えを聞いてない…」

私はそう呟いた後、壁に自分の頭をぶつけた。