「そうだ」

兄に言われていたことがあった。

この件が解決したら社長に聞いてこい…と、言われていたことを思い出した。

解決したことだから聞く訳なのだが、
「…なんて聞けばいいんだ?」

私はガラステーブルのうえにスマートフォンを置くと、腕を組んだ。

至れり尽くせりをするその理由を聞けばいいのか…って、ただのナルシストじゃないか。

だけど、それ以外で理由は何も浮かばない。

「…思われたらその時はその時だな」

報告ついでに聞きに行くかと思いながら、私は自室を出てリビングにいる社長のところへと足を向かわせた。

「社長」

私だったら絶対に読まないどころか手にも取らないであろう経済関連の本を読んでいる社長に歩み寄った。