「何となくだけど、精算をつけないといけないような気がするんだ」

「…そうだろうな」

兄は息を吐くと、
「他人には偉そうに言っておいて、自分の問題がな…」
と、言った。

「他人は他人じゃない」

「そう言うところだぞ」

のん気に言いあいをしている場合ではない。

「父親が生きてるのか死んでるのかはよくわからないけど…まずは過去に精算をつけなきゃ、どうすることもできないだろうね」

私は言った。

「正直なことを言うと…全くと言っていいほどに連絡をとっていなかったし、親戚ともこれと言ってつきあいもないから、時間はかかるかも知れないけどね」

そう言った兄と顔をあわせると、
「一応は向きあってみよう」
と、私は言った。