能ある彼女は敏腕社長に捕獲される

「おい」

社長に声をかけられて、私と兄は視線を向けた。

「俺は何も聞いてないぞ」

そう言った社長に、
「聞いてないも何も言わなかったんです」
と、私は言い返した。

「簡単に目的を説明をしますと、娘の気持ちを父親にわからせることと婚約を取り消すことですね」

私は言った。

「正直なことを言うと、父親を捨てて出て行った方が手っ取り早いような気がしますけど…私がそれを切り出したら、『トウゴウ』のお嬢さんは“父を見捨てることができない”と言って断ったんですよ。

父親思いのよくできた娘さんだと思いませんか?」

私が社長にそう言ったら、
「確かに君の言う通り、あの社長からよくこんな心優しい娘が生まれたなと思う」
と、社長は言った。